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言語と社会の要点とひっかけ(日本語教員試験 論点テキスト)
出題区分「言語と社会」にあたる6論点を、要点45本・ひっかけ27本にまとめました。
最終更新:2026年10月25日
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このページの論点
<8> 社会言語学
方言・共通語・標準語の区別、方言区画と方言周圏論、役割語や隠語など、社会言語学の基本概念が問われる。
要点
- 共通語と方言については、「相手や場面によって使い分ければよい」が83.9%で最も多い(令和7年度の国語に関する世論調査)。
- 方言は、同一系統の言語の中での場所によることばの違いであり、系統の異なる言語どうしの違いは方言ではない。
- ある地域のことばに特有の単語は俚言と呼ばれ、一地域のことば全体を指す方言とは区別される。
- 共通語は方言をこえて通じることば、標準語は規範的な正式の言い方を指すが、日本語では実体上の区別がはっきりしない。
- 東条操の方言区画は、本土方言と琉球方言に大別し、本土方言を東部方言・西部方言・九州方言に分ける。
- 方言周圏論による周圏分布は、中心地で生まれた語が周辺へ広がる過程が繰り返されてでき、外側の語ほど古く内側の語ほど新しい。
- 役割語は、実際の話し方ではなく、フィクションを通じて受け継がれた「らしい話し方」のイメージを呼び起こす話し方である。
ひっかけ
- 動詞に共通する部分は語根、それに付く部分は接辞であり、逆ではない。方言にも独自のルールを持つ文法がある。
- 共通語化は音声を中心に進むが、方言を使う場面が失われるのではなく、方言と共通語が共生する社会が続くとされる。
- 「荒っぽい」「きつい」を多くあげたのは広島・高知・福岡・鹿児島で、札幌・東京などでは地元の人が共通してあげたイメージがほとんどなかった。
- 隠語は客に分かりやすく言い換えるものではなく、客に聞かれたくない内容を言い換えて社員に限って伝えるもので、店によって言い方が異なる。
- 公的な価値の変種と私的な価値の変種を場面で使い分ける状況は、日本に特有ではなく、台湾にも見られる。
<9> 言語政策と「ことば」
公用文作成の考え方、外来語の表記、日本語教育推進法の目的、デジタル言語資源とコーパス、国語力の基盤が問われる。
要点
- 「公用文作成の考え方」は、広く一般に向けた文書では義務教育で学ぶ範囲の知識で理解できるように書くよう努めるとする。
- 外来語の表記の留意事項その1は、外来語や外国の地名・人名を片仮名で書き表す場合を扱い、慣用が定まっているものはそれによる。
- 日本語教育推進法の目的は、多様な文化を尊重した活力ある共生社会の実現と、諸外国との交流の促進並びに友好関係の維持及び発展に資することである。
- 言語資源は言語資料の総体、そのうち電子化されたものがデジタル言語資源、さらに言語情報が付与されたものが言語コーパスで、範囲は順に狭くなる。
- 言語コーパスの要件は、電子化、公開、真正性、均衡性、代表性、規模、付加情報の七点である。
- 個人にとっての国語の役割は、知的活動の基盤、感性・情緒等の基盤、コミュニケーション能力の基盤の三つに整理される。
ひっかけ
- 広く一般に向けた文書では、専門用語や外来語を積極的に用いるのではなく、むやみに用いないようにする。
- 外来語の語形のゆれ(ハンカチとハンケチなど)は、どちらかの語形に統一すると定めているわけではない。
- 言語コーパスの要件に匿名性は挙げられていない。
- 文化の基盤であり中核としての国語は、個人にとっての三つの基盤ではなく、社会全体にとっての国語の役割として挙げられている。
- 1948年の読み書き能力調査の報告書は、識字率の高さを示したのではなく、リテラシーを持つ識字者は4.4%にすぎないと結論づけた。
<10> コミュニケーションストラテジー
やさしい日本語ガイドラインの性格と、外国人と話すときの話し手・聞き手の方略や問い返しの工夫が問われる。
要点
- 「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」は、特に書き言葉に焦点を当て、お知らせなど書き言葉で情報発信をする際の活用を想定している。
- 場つなぎ表現は、依頼の冒頭に添えると話し手の配慮が伝わり、相手に負担を強いる依頼を柔らげる。
- 外国人に慣れている人は、話すとき、文を短くして終わりをはっきりさせる、簡単な言葉に言い換える、相手の理解を確認するといった方法を多く使う。
- 外国人に慣れている人は、聞くとき、あいづちをたくさん打つ、理解したことを示す言葉を返す、相手の言ったことを繰り返して確認するといった方法を多く使う。
- 分かりやすい話し方は、よく使う言葉を使い、省略せずに言い、短い文で段階を追って話すことである。
- 外国人が日本人の説明で重視する観点は、会話に積極的に参加する態度、落ち着いた態度、相手に合わせた説明である。
- 聞き取れなかったとき、分からない部分を明確に示して問い返すと、相手はその部分だけを繰り返せ、説明を全部やり直されずに済む。
ひっかけ
- やさしい日本語ガイドラインの本体は話し言葉ではなく書き言葉が中心で、話し言葉は別に「話し言葉のポイント」が取りまとめられている。
- 外国人に慣れている人は、普段と同じ速さと言葉遣いで話し続けるのではなく、相手に合わせて話し方を調整する。
- 場つなぎ表現は時間稼ぎに限られず、話題を変える際のクッションなどの機能もあり、発話の意味自体は変えない。
- 外国人は、文法や言葉の説明を、参加態度や落ち着きや相手に合わせた説明ほどには重視していない。
<11> 待遇・敬意表現
敬語の指針が示す敬語の五つの種類と使い分け、二重敬語・敬語連結、自分側を立てない原則、場面に応じた敬語の選び方が問われる。
要点
- 敬語の指針は、敬語を尊敬語・謙譲語I・謙譲語II(丁重語)・丁寧語・美化語の5種類に分けて解説している。
- 尊敬語は、相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて、その人物を立てて述べるものである。
- 参る・申す・いたす・おるは謙譲語II(丁重語)、伺う・申し上げる・差し上げる・お目に掛かるは謙譲語Iに分類される。
- 自分側は立てないのが原則で、家族などのウチの人物も自分側に含め、自分側のことは謙譲語IIなどで相手に丁重に述べる。
- 謙譲語Iは向かう先を立てる敬語で、ふさわしい向かう先がある場合に限り使い、謙譲語IIは向かう先の有無にかかわらず使える。
- 尊敬語のお(ご)……になるに対し、お(ご)……するは謙譲語Iの形であり、相手の行為には使わない。
- 二重敬語は同じ種類の敬語を重ねたもので一般に適切ではないが、お召し上がりになる、お見えになる、お伺いするなど習慣として定着したものもある。
- 敬語連結は二つの語をそれぞれ敬語にして「て」でつなぐもので、個々の使い方が適切で意味的な不合理がなければ基本的に許容される。
- 敬語使用の基盤は相互尊重であり、人間関係や場の状況に対する自らの気持ちを踏まえて主体的に選ぶ「自己表現」である。
- お・御の使い分けは、お+和語、御+漢語が原則で、お名前・御住所となる。美化語ではお料理のように漢語の前でもおが好まれる。
ひっかけ
- 「ご……される」(御利用される)は本来適切な尊敬語の形ではなく、お(ご)……になる、お(ご)……なさるなどを用いる。
- 「お読みになられる」は習慣として定着した二重敬語ではなく、一般に適切でない二重敬語の例である。
- 「あなた」は現在、敬意の高い語としてではなく同等又は下位の人に使うのが一般的で、上位者には用いにくい。
- 上位者に対しては、敬語の形が正しくても能力・意思・願望を直接尋ねる形は問題があり、事実を問う形にする。
- 「(さ)せていただく」は、相手に頼んで代わりに行ってもらう場合や宣言する場合ではなく、許可を受けて行い恩恵を受ける場合に使う。
<12> 言語・非言語行動
言語コミュニケーションの四つの要素と、言葉以外の要素、あいづちなど聞き手の示し方、ジェスチャーや絵文字が問われる。
要点
- 言語コミュニケーションの四つの要素は、正確さ、分かりやすさ、ふさわしさ、敬意と親しさである。
- 分かりやすさは、互いが十分に情報を理解できるように、表現を工夫して伝え合うことである。
- 四つの要素は互いを支え合うが対立する側面も持つため、目的、相手、場面に応じてバランスを取る。
- 伝え合いの質に影響する言葉以外の要素には、話す速度・声の大きさや抑揚、表情・姿勢・視線・身振り、文字種・書体・書式などがある。
- 聞き手は、体の向きや視線で聞こうとする態度を示し、うなずきやあいづちで聞いているというシグナルを出す。
- 日本人は物を渡すときなど様々な局面で言葉や動作のサインをこまめに出し、これがあいづちが多いという印象にもつながる。
- 声の調子や笑いはパラ言語的資源、ウィンクなどの身体表現は非言語的資源と呼ばれ、文末の絵文字はこれらの役割を果たす。
ひっかけ
- 流暢さは四つの要素に含まれず、含まれるのは正確さ・分かりやすさ・ふさわしさ・敬意と親しさである。
- 話し手の出身地や母語は、伝え合いの質に影響する言葉以外の要素として挙げられていない。
- 相づちを打たず静かに聞くことは、日本人の話し手には深い理解の表れとは受け取られず、関心がないと思われて話題を移されることがある。
- ジェスチャーの意味も手話も世界共通ではなく、国や文化で異なる。手話はジェスチャーやパントマイムと同じものではない。
<13> 多文化・多言語主義
多文化共生推進の意義、継承語と現地語、多言語対応、日本手話の位置付け、消滅の危機にある言語とアイヌ文化の定義が問われる。
要点
- 令和2年改訂の総務省プランは、多文化共生推進の意義として、「新たな日常」の構築、地域の活性化、積極的な参画と担い手の確保、都市部に集中しない外国人材受入れを挙げる。
- 外国人の子どもの言語使用では、両親の母語を継承語、家庭以外の社会で使用される言語を現地語と表す。
- 親の母語(継承語)を学ぶことは、親との絆を深め、学校での教科学習を促進し、子どもの自己肯定感を育むうえでプラスと言われている。
- 日系ブラジル人の児童生徒は、相手に応じてポルトガル語と日本語を使い分け、7割以上が将来は両方の言語で会話も読み書きもできるようになりたいと答えた。
- 多文化共生推進プランのコミュニケーション支援では、外国人住民の国籍等に応じて、希少言語ややさしい日本語を含めた多言語対応が必要とされる。
- 日本手話は、話者の間で自然にできた、日本語とは異なる独自の構造をもつ言語で、方言もある。
- 文化庁の整理では、日本国内の8言語のうちアイヌ語が【極めて深刻】、八重山語と与那国語が【重大な危機】で、八丈語・奄美語・国頭語・沖縄語・宮古語は【危険】とされる。
- アイヌ施策推進法第2条第1項は、アイヌ文化を、アイヌ語並びにアイヌにおいて継承されてきた生活様式、音楽、舞踊、工芸その他の文化的所産及びこれらから発展した文化的所産と定義する。
ひっかけ
- 多文化共生推進の今日的な意義に、外国人住民の流入を抑えて地域の人口構成を維持することは含まれない。
- 学校で親の母語の使用が禁じられているわけではなく、公立学校でも継承語を使った日本語指導や継承語学習の促進を行う例が出てきている。
- 多言語対応は主要な言語に限らず希少言語も含み、行政情報を日本語に統一するのでもない。
- 日本手話は日本語の語順に合わせて手の動きを置き換えたものではなく、日本語とは異なる独自の構造をもつ。
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この論点の問題は、アプリで解けます
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