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言語と教育の要点とひっかけ(日本語教員試験 論点テキスト)
出題区分「言語と教育」にあたる16論点を、要点121本・ひっかけ67本にまとめました。
最終更新:2026年10月25日
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このページの論点
<20> 日本語教師の資質・能力
専門家としての日本語教師の資質・能力、日本語教育人材の整理、登録日本語教員の登録と認定基準上の教員の要件が問われる。
要点
- 日本語教師に求められる資質・能力は、実践的コミュニケーション能力、言語・文化への関心、グローバルな視野と教養、専門性の自覚と学び続ける態度、成長と発達への理解の五つである。
- 技能は教育実践、学習者の学ぶ力の促進、社会とつながる力を育てるものに分かれ、学習者の能力を評価し指導する能力は学ぶ力を促進する技能に入る。
- 日本語学習支援者は、多文化共生・日本語教育に興味・関心を持つ者を対象に、地方公共団体や大学等が実施する研修の教育内容が示される役割である。
- 日本語教師【初任】の研修の受講対象は、養成を修了した者と、当該活動分野で新たに日本語教育に携わる者である。
- 地域日本語教育コーディネーターの受講対象は、中堅を経て地域日本語教育に3年以上の実務経験があり、コーディネート業務にあたる者である。
- 日本語教師【初任】の活動分野は、生活者としての外国人、留学生、児童生徒等、就労者、難民等、海外の六つである。
- 登録日本語教員となるには、日本語教員試験に合格し、かつ実践研修を修了していることが要る。
- 登録日本語教員養成機関の養成課程は、五つの基礎科目の授業時間数が合計375単位時間で、1単位時間は45分以上である。
- 認定日本語教育機関で認定の対象となる日本語教育課程を担当する教員は、登録日本語教員でなければならない。
- 主任教員の要件の一つは、認定日本語教育機関において本務等教員として日本語教育に3年以上従事した経験を有することである。
ひっかけ
- 母語話者として学習者の誤りを正す規範意識を強く持つことは、専門家としての日本語教師に求められる資質・能力に含まれない。
- 本務等教員かどうかは勤務の実態で判断され、雇用形態はフルタイムの正社員に限られない。
- 登録を取り消され、取消しの日から起算して五年を経過しない者は、再び登録を受けることができない。
- コアカリキュラムの49項目は、学ぶ順序を示すものでも重要度順でもなく、【養成】修了段階の基本的な事項に限られる。
- 420単位時間は日本語教育機関の告示基準にあった研修の時間数で、養成課程の375単位時間とは別のものである。
<21> 日本語教育プログラムの理解と実践
認定日本語教育機関の認定基準・公表・点検評価・報告・取消しの規定と、日本語教育の参照枠の考え方が問われる。
要点
- 認定基準は、教職員の体制、施設及び設備、課程の編成及び実施の方法、学習上及び生活上の支援のための体制の四つについて定められる。
- 設置者は毎年一回以上、自ら日本語教育の点検及び評価を行って結果を公表し、第三者の評価を受けて公表するよう努める。
- 法律は、日本語に通じない外国人が我が国で生活するために必要な日本語を理解し使用する能力を習得させる教育を「日本語教育」と定義する。
- 参照枠の言語活動は、聞くこと、読むこと、話すこと(やり取り)、話すこと(発表)、書くことの五つで、話すことだけが二つに分かれる。
- 設置者は毎年度、日本語教育の実施状況を文部科学大臣に報告し、文部科学大臣は報告を取りまとめてその概要を公表する。
- 偽りその他不正の手段により認定を受けたときは、文部科学大臣が認定を取り消すものとされる。
- 留学のための課程を置かない認定日本語教育機関は、B1以上の水準を目標とする課程を一つ以上置かなければならない。
ひっかけ
- 生徒の出身国・地域別の入学定員の配分は、認定の基準が定める事項に含まれない。
- 公表されるのは授業科目、教員等の数、費用などの機関の基本情報で、生徒個人の入学時の得点のような個人情報は公表事項ではない。
- 参照枠は学習・教育の内容や方法の画一化を図るものではなく、日本語教師が熟達度を客観的に把握して設計や評価に生かす物差しである。
- 留学・就労・生活の課程はどれか一つに限られず、複数の課程を置く機関も認定を受けられる。
- 報告や帳簿の備付け、変更の届出への違反は、取り消さなければならない場合ではなく、取り消すことができる場合にとどまる。
<22> 教室・言語環境の設定
外国人児童生徒の居場所と特別の教育課程・取り出し指導、認定日本語教育機関の教室面積・授業の人数・設備・講義の定義が問われる。
要点
- 居場所は学級に限らず、日本語教室や国際教室、保健室、事務室など、自分を受け入れ安心させてくれる人のいる場所である。
- 教室の面積は同時に授業を行う生徒一人当たり1.5平方メートル以上で、20人が授業を受ける教室では30平方メートル以上が必要になる。
- 20人を超える講義は、生徒の日本語能力がおおむねB1以上で、授業時間の半分以上が設問への回答時間であるなど、教員とのやり取りが比較的少ない授業が想定される。
- 設備は例示のとおりでなくても、黒板をホワイトボードで代替するなど、機能として十分な設備が備わっているかどうかを確認する。
- 学校教育法施行規則第56条の2は、日本語に通じない児童のうち特別の指導を要するものの教育を、文部科学大臣が別に定めるところにより特別の教育課程によってできるとする。
- 日本語指導担当教師は、取り出し指導で学んだ語彙や表現を担任に使ってもらい、成果を在籍学級で発表する機会を設けてもらうなど、学級の学習との関連付けを担うパイプ役が期待される。
ひっかけ
- 日本語指導の特別の教育課程を定めるのは、校長や都道府県知事、市町村の教育委員会ではなく、文部科学大臣である。
- 46平方メートルは校舎の一人当たりの基準を、115平方メートルは校舎の最低面積を指し、教室の面積の基準ではない。
- 発話の練習が主要な演習やロールプレイ、個別指導の機会が多い授業は、20人を超えて講義を実施する例に当たらない。
- 講義かどうかは教壇や着席といった外形的な形態ではなく、主要な活動が教員から生徒への知識の伝達かどうかで決まる。
<23> コースデザイン
コースデザインの段階と逆向き設計、標準的なカリキュラム案と参照枠のCan doの活用、認定基準の授業時数が問われる。
要点
- コースデザインは、調査・分析、計画、実施・評価の三つの段階に分けられ、実施結果の分析は次のコースの改善に生かされる。
- 逆向き設計は、まず学習目標を設定し、次に達成を測る評価方法を決め、最後に授業の内容や方法を考える設計の考え方である。
- 生活者としての外国人向けのカリキュラム案の目標は、健康・安全、自立、相互理解と社会の一員、文化的な生活の四つの生活を送れるようにすることである。
- カリキュラム案が一義的な利用者として想定するのは、各都道府県、市町村で地域のコーディネーター的役割を果たす日本語教育担当者である。
- 参照枠は五つの言語活動をバランスよく学ぶことより、個人にとって必要なことから学ぶことを重視し、対人サービスの仕事なら口頭能力を優先する。
- 文型中心のシラバスでも、各課の知識を使ってできる活動を最終目標として考え、Can doを参照すれば学習目標を作成できる。
- Can doをもとにしたカリキュラムでは、学習者がしたい言語活動を定め、その活動に必要な文型や語彙を活動を通して学ばせる。
- 就労・生活の課程の授業時数は、目標がA1で100時間以上、A2で200時間以上、B1で350時間以上である。
- 留学のための課程の授業時数は、一年間にわたり760単位時間以上で、一単位時間は45分以上、授業期間は原則35週である。
- 課程の到達目標は具体的な言語能力記述文(Can do)で設定し、五つの言語活動の到達レベルは目的を踏まえ合理的なら異なってもよい。
ひっかけ
- カリキュラム案の事例は掲げられた順序のとおりに教えるものではなく、学習者の状況やニーズに合わせて地域が選択し並べ替えて使う。
- 単位は具体的な授業時間数ではなく学習時間の相対的な割合であり、30単位を60時間とした数値は最低限の目安にすぎない。
- ニーズ調査やレディネス調査は実施・評価の段階ではなく、最初の調査・分析の段階で行うことである。
- 生活上の行為の大分類のうち「働く」と「教育・子育てを行う」は、人により必要性が異なるためカリキュラム案では扱っていない。
- 学習項目の要素のうち、機能は発話の働き、能力記述は行動達成目標、場面は状況とかかわる人々で、混同しない。
<24> 教授法
直接法・ディクトグロス・再話・CLIL・タスク・スキミングとスキャニングなど、教授法と活動の手順や特徴が問われる。
要点
- 直接法は、媒介語による翻訳や説明を用いず、絵カードやビデオで場面や状況を示して学習項目を帰納的に理解させる方法である。
- ディクトグロスは、文章をメモを取りながら聞き、メモを持ち寄って復元し、元の文章と照合して修正し、最後に必要に応じて教師が文法を説明する順で進める。
- ペアの再話活動は、再話者がメモを見て話す、素材を見ずメモで補い合う、何も見ずに協力して再話する、と手がかりを減らして負担を上げる。
- CLILの4Csフレームワークは、内容、言語、認知、協学・異文化理解(Community/Culture)の四つを統合して学習を進める考え方である。
- CLILは、言語がより中心のSoft CLILと、内容がより中心のHard CLILに分けられる。
- 文法を教える教師の役割は、学習者の言語習得のメカニズムを活用し、文法項目を含む質のよいインプットとアウトプットの活動で働きを助けることである。
- タスクを中心に置く学習項目の組み立ては、タスク・シラバス(手続きシラバス)と呼ばれる。
ひっかけ
- 気づきを促す授業では、誤った分類にも教師がすぐ正解を解説せず、他の学習者に意見を求め、教師は必要なときに少しだけヒントを出す。
- 部分的CLILと完全CLILは、言語と内容の重点の違いではなく、目標言語で指導する時間や範囲による別の分類である。
- 足場かけは事前導入、視覚的支援、協働的活動などの支援を行うことで、支援を取り除いて初めから独力で取り組ませる設計ではない。
- トピックからタスクを開発する枠組みの7分類に、文型の空所を埋めること(Gap filling)は含まれない。
- 語彙マップは既習の語と関連付けて広げるもので、まだ定着していない新しい語どうしを一度に結びつけると学習者が混乱することがある。
<25> 教材分析・作成・開発
教材例の作成の進め方、情報の差を使う活動、自作の読み物や観光日本語のシラバス、読解教材の設計の考え方が問われる。
要点
- 標準的なカリキュラム案の今後の課題は、現場が適宜修正して活用できる教材例を、学習者や指導者、教師、研究者、有識者と連携して作成することである。
- グループごとに異なる情報を持たせると、情報の差(インフォーメーションギャップ)を埋めるために伝え合う必然性が生まれる。
- 入門・初級向けの自作多読本は、使用教科書の語彙と文法を使って未習語を最小限にし、挿絵は1ページに一つか二つ入れ、文を短く簡潔にする。
- 観光日本語のシラバスは、資料収集、場面(場所と行動)の設定、場面で重要な機能の検討、文型・表現・語彙・例文の整理の順に作成した。
- みんなのCan-doサイトでは、レベル、カテゴリー、トピックなどの条件からCan-doを検索して学習目標を作る。
- クリティカル・リーディングの読解教材は、従来の内容理解と言語知識の学習に焦点を置く教材と違い、言語知識のセクションを自習用にしている。
- 1課のタスクは、全体の理解、細部の理解、自分の経験や意見の表明と、段階を踏んで進める構成になっている。
ひっかけ
- 自作の多読本では、漢字にふりがなをつけないのではなく、漢字には全てふりがなをつけて読みを支える基準で作る。
- ガイドの発話で使用頻度が高い表現は、初級の学習項目でないことを理由に除外せず、業務上求められる定型表現として選んだ。
- 検索したCan-doは原文のまま学習目標にするのではなく、場面や話題に合わせて修正を加えて、オリジナルのCan-do(My Can-do)を作る。
- クリティカル・リーディングの教材は、教師が読解の途中で言葉や表現をその都度教える前提ではなく、理解の過程をさえぎらないようにしている。
<26> 評価法
日本語教育の参照枠のレベルとCan do、評価の種類・手法・基礎概念、ルーブリックやポートフォリオの特徴が問われる。
要点
- 参照枠は、基礎段階をA、自立をB、熟達をCとし、それぞれを二分割してA1からC2までの六レベルとする。
- 参照枠が示す言語能力記述文(Can do)は、活動、方略、テクスト、能力の四種類である。
- 形成的評価は、コースの途中で学習の進み具合や弱点の情報を集め、授業計画や学習者へのフィードバックに生かす評価である。
- ポートフォリオは、試験結果、ルーブリック、自己評価チェックリスト、ピアのコメントシートなどを集め、熟達度の成長の過程を総合的に見る方法である。
- 参照枠の評価の理念は、生涯にわたる自律的な学習の促進、多様な評価手法の提示と活用推進、評価基準と評価手法の透明性の確保の三つである。
- 評価の基礎的な概念のうち、信頼性はぶれのない安定的な評価結果を出せるか、妥当性は測りたいものを実際に測っているかを問う。
- ルーブリックは、課題の達成度と文法的正確さ、使用語彙の範囲、発音などの観点を組み合わせた評価基準表で、評価の観点を明示する。
- 相互(ピア)評価は、クラスメートや家族、職場の人など周りの人との間でコメントを返し合い、自分の熟達度を多面的に把握する評価である。
- 直接評価は学習者が実際にしていることを評価するもので、古典的な直接テストは面接、古典的な間接テストはクローズ・テストである。
- ルーブリックは、尺度と評価の観点を決め、「できた」の列から評価基準を書き、全体を確認し、学習者の名前がわからない状態で評価に使う順に作成・使用する。
ひっかけ
- 到達度評価は学習範囲の目標への到達度を見て授業に関連づけ、熟達度評価は実世界で何ができるかを見るもので、両者を取り違えない。
- 系統立てた自己評価は教師の評価との相関が低くて補完に使えないのではなく、基準や具体的経験があれば教師の評価を効果的に補完できる。
- 分析的評価で分野別の評点を合計するときは、各分野を同じ配点にするのではなく、分野別に配点比重を変えて計算するのが典型である。
- 言語活動の熟達度は通常そろっているのではなく、言語活動によってばらつくことの方が多く、熟達度は下降する場合もある。
- 評価の方法は単元ごとのテストや定期試験に限定せず、パフォーマンス評価、自己評価、他者評価、成果物の提出などを目的に合わせて組み合わせる。
<27> 授業計画
文型指導や文法指導の授業の流れ、作文・ロールプレイの活動の組み立て、ティームティーチングの役割分担が問われる。
要点
- 小学校後半以上の文型指導は、導入、基本練習、応用練習、まとめの流れで進め、応用練習では場面を設定した課題解決型の練習を行う。
- 作文の課題は、読み手や目的を示すと、誰に何のために何をどんな文体で書くかを考えるコミュニケーションの練習になる。
- 文法中心の教科書での指導は、文法説明、インプット理解の練習、文型練習(ドリル練習)、コミュニケーションのための練習の順に行う。
- インプット理解の練習では、〇×、絵や図とのマッチング、体を使った反応や動作で理解を確認し、文法項目を話したり書いたりする必要はない。
- ティームティーチングでは、ネイティブ教師が発音の見本や生の日本語を示し、ノンネイティブ教師が母語で文法などをわかりやすく説明する。
- ロールプレイのタスク先行型は、まず自分の力で行い、十分にできなかった部分を練習してから、もう一度ロールプレイをする。
- 会話の授業で実際の会話の特徴を反映させるコミュニケーション3要素は、情報差、選択権、反応である。
ひっかけ
- ピア推敲は文法や文型の間違いの指摘に偏らず内容や読み手に注目して話し合い、その内容を書き直しに反映させる。
- 語の入れ替えや形の変換のドリル、モデル会話をほとんど暗記して発表する形のロールプレイは、コミュニケーションにつながるタスク練習とはいえない。
- ネイティブ教師が母語で文法を説明するのではなく、強みを活かして役割を分け、授業の目標と役割を双方が把握しておく。
- 目的、役割、状況はロールカードに書く事項であり、コミュニケーション3要素ではない。
<29> 中間言語分析
学習者コーパス、文法の3要素、中間言語、誤用の種類と過剰般化などのストラテジー、作文のフィードバックが問われる。
要点
- I-JAS(多言語母語の日本語学習者横断コーパス)は、日本を含む20の国と地域で12言語を母語とする学習者1000人の話し言葉と書き言葉を調査したコーパスである。
- 文法の正しさには、形のルール、文の意味と機能、使い方のルールが関わり、この三つを文法の3要素と呼ぶ。
- 学習者が作りあげる発達途中の独自の文法体系は、第一言語とも目標言語とも異なる中間言語知識と呼ばれる。
- 誤りの種類を色分けして示し、学習者に自分で考えて書き直させる添削は、自分の文章を見直すモニタリングの力を伸ばす。
- 目標言語の規則を適用できない場合にまで過度に一般化する現象を過剰般化(過剰一般化)といい、「好きくない」はその例である。
- 添削は否定的なフィードバックが増えやすいため、肯定的なコメントと読み手としてのコメントも返し、学習意欲を保って実際のコミュニケーションに近づける。
ひっかけ
- 自動詞と他動詞の誤用は、特定の母語に限らず両方向で見られ、母語の影響だけでは説明できず語形と意味の理解の不十分さも背景にある。
- 初級教科書が「ら抜き言葉」を紹介するのは「この形もよく使われる」という紹介にとどまり、使うための練習を設けて定着させるものではない。
- 誤用のまま習得が進まなくなる状況は化石化(定着化)であり、規則を過度に広げる過剰般化とは別の概念である。
- 中国語と韓国語を母語とする学習者6名を3年間縦断的に調査したのはI-JAS(横断)ではなく別のコーパス(C-JAS)である。
<30> 授業分析・自己点検能力
授業の自己点検・内省、質問の種類、ふり返りのチェックリスト、ポートフォリオを使った教師研修の考え方が問われる。
要点
- 授業の自己点検や相互評価で授業を客観的に分析する方法を実践することは、教師が常に学び続ける素地を養うために位置付けられている。
- 本文中に答えがなく学習者の個人の意見や考えを聞く質問がReferential Question、本文中に答えがあり理解を確認する質問がDisplay Questionである。
- 教え方を改善する四つの段階は、問題の発見、改善の計画、改善の実行、改善の評価・行動のふり返りの順である。
- 授業後に自分が考えたことや行ったことをあとでふり返って考えることを内省といい、教師は内省を重ねて成長していく。
- ポートフォリオは使用目的により、学習過程を記録するコレクションPF、成果を評価するアセスメントPF、第三者に提示するショーケースPFに分けられる。
- ポートフォリオ評価は、部分よりも全体、結果よりも過程、長期間にわたる変化を評価する。
ひっかけ
- 授業の自己点検は、学習者の成績を順位で示したり、授業の進め方を同じ形式にそろえたりするためのものではない。
- 「おもしろい授業だったか」は表情や参加度からある程度は判断できるが本当の気持ちまではわからず、詳しく知りたいときはアンケートを使う。
- 理由を想像させるような本文中に答えがない質問は、理解を確認するDisplay Questionではなく、学習者が自由に考えるReferential Questionである。
<31> 目的・対象別日本語教育法
外国人児童生徒への日本語指導の形態・プログラム、JSLカリキュラム、JSL評価参照枠、母語の力と日本語の伸びが問われる。
要点
- 取り出し指導は在籍学級以外の教室で行う形態、入り込み指導は在籍学級の授業中に担当者や支援者が入って支援する形態である。
- サバイバル日本語プログラムは、来日直後の児童生徒に、学校生活や社会生活に必要な知識とそこで日本語を使って行動する力を付けることを目的とする。
- JSLカリキュラムは、個別のカリキュラムの作成を前提とし、日本語を教科学習の場面から切り離さず、具体物や直接体験で学びを支え、日本語表現を調整し明確化する。
- JSLカリキュラムの目標は言語面と内容面の二つの面からなり、内容面の目標の学習に必要な日本語の力が言語面の目標になる。
- 小学校1〜3年生程度の児童には、生活に関連のある具体的な場面とともに日本語を聞かせ、表現を繰り返し使う活動を通して習得させる。
- 補充型は、特別に取り出して国語や社会科など日本語に依存する教科の補充を行い、他教科は所属学級で学ぶタイプである。
- 算数科の授業の構造は、問題を把握する、解決の計画を立てる、計画を実行する、実行した結果を検討する、の順に展開する。
- JSL評価参照枠のステージ1の「話す」では、話す前の沈黙期もあるため発話を強要せず、児童が自分から発話するまでじっくり待つ。
- 母語で年齢相応の教科学習を行った経験がある子どもは、日本語の学習言語の習得も速くなる傾向があり、転編入時に母語の状況も把握するとよい。
ひっかけ
- 筆記テストやDLAで測れるのは日本語の力の一部であり、言葉の力の全体を把握するには授業中の観察や発表、作文などの評価も併用する。
- 参照枠の言語能力記述文を成人向けのままそのまま子供の学習目標にするのではなく、発達に配慮して適切かどうかを慎重に見極める。
- 「トピック型」と「教科志向型」のJSLカリキュラムに積み上げの関係はなく、併行して実施したり相互乗り入れしたりできる。
- JSLカリキュラムの評価は、日本語力テストの結果や在籍期間といった基準を優先せず、個々の実情を把握した形成的な評価を行う。
- 指導目標の記入例の「日本語で参加することができる」は全員に共通した課題で、学年の部分は在籍学年でなく習得目標学年でもよい。
<32> 異文化間教育
日常を写した素材を使う文化理解の活動、文化の取り入れ方と3つのP、文化を固定的に伝えない工夫、文化間言語学習の考え方が問われる。
要点
- 写真を使った文化理解の活動は、生活習慣や産物を観察し、発見を共有してから、背景や価値観を考える順に進める。
- 観察では自分たちと異なる点だけでなく共通点も出し、素材は複数の多様なものを用意し、意見交換で文化の多様性や個別性への気づきを促す。
- 文化間言語学習は、言語と文化は切り離せないという考えを礎に、言語学習を通じて国際社会の一員として生きる基礎を作る考え方である。
- 文化の取り入れ方は、「日本文化・日本事情」という科目で教える、通常の授業の中に取り入れる、特別授業や特別活動を行うの三つに分けられ、時間がない場合は通常授業に取り入れる形が工夫しやすい。
- 「3つのP」のうち、Practice(習慣・行動)とProducts(見えるもの)が見える文化で、Perspectives(考え方・価値観)が見えない文化である。
- 文化を紹介するときは、「私の知っているAさんは〜する。でもBさんは〜しない」のように、自分の知っている文化だと伝え、文化は人や場所で違い変化するという理解で話す。
- 日本事情・日本文化のトピックは、社会生活を知るための習慣慣習・社会システム・生活・対人関係と、日本を深く理解するための自然環境・社会人文科学・伝統・芸能などに分けられる。
ひっかけ
- 写真を1枚だけ見せて日本人の標準的な姿として説明するのではなく、複数の写真を見せ、選ぶときは地域差や個人差を意識する。
- 活動の目的は日本人の考え方や価値観について最終的な結論を出すことではなく、学習者の「目」と「頭」を育てることである。
- 文化間言語学習は、言語知識の習得を中心に据える考え方や、母語・母文化を外して目標言語の文化へ同化することを目指す考え方とは異なる。
<33> 異文化コミュニケーション
やさしい日本語のガイドラインが示す歴史・作成の手順とポイント、多言語との使い分け、希望する情報発信言語、文化の知識の捉え方が問われる。
要点
- やさしい日本語は、日本人にわかりやすい文章にし、外国人にもわかりやすい言葉や表記に直し、日本語教師や外国人に確認してもらう三つのステップで作る。
- 作成のポイントは、一文を短く言いたいことを一つにし、二重否定や受身・使役をできる限り使わず、尊敬語・謙譲語を避けて丁寧語にとどめることである。
- 熊本地震の避難所では、外国人がやさしい日本語なら通じることを日本人が認識していなかったことが、報道で原因の一つと指摘された。
- コミュニケーションの導入にはやさしい日本語を使い、複雑なことを伝える際は多言語化された資料を用意するなど使い分けも必要である。
- やさしい日本語の歴史は1995年の阪神・淡路大震災に遡り、外国人の死傷者の割合が日本人より高かったことから、災害情報を迅速に伝える手段として始まった。
- 東京都国際交流委員会の調査(2018年)で、外国人が希望する情報発信言語は、やさしい日本語76%、英語68%、日本語22%、機械翻訳された母国語12%の順である。
ひっかけ
- 時間や年月日の表記は、元号ではなく西暦を使い、年月日を「/」で区切らない。
- 日本人の行動パターンは調査で示せないのではなく、示せても傾向や特徴にとどまり日本人皆がそう行動するわけではないため、予備知識とする発想に問題がある。
- やさしい日本語を活用すれば多言語での情報提供や日本語学習の機会の確保が重要でなくなるのではなく、高齢者や障害のある人にも使う。
<34> コミュニケーション教育
参照枠の言語教育観と活動Can do、行動中心アプローチと課題達成型の学習活動、分かり合うためのコミュニケーション、ピア・レスポンスが問われる。
要点
- 参照枠の言語教育観の柱は、学習者を社会的存在として捉える、言語で「できること」に注目する、多様な日本語使用を尊重する、の三つである。
- 行動中心アプローチの言語教育の目標は、学習者が生活や就労などそれぞれの社会で求められる課題を遂行できるようになることである。
- 分かり合うためのコミュニケーションとは、複数の人が互いの異なりを踏まえ、情報や考え、気持ちを伝え合い、理解を深めることである。
- 学習者同士が互いの作文におもしろい点やわかりにくい点を指摘し助言をしあう活動は、ピア・レスポンスである。
- 参照枠の活動Can doは、聞くこと・読むこと・話すこと(やり取り)・話すこと(発表)・書くことの五つで示され、仲介活動の検討は今後の課題とされる。
- 課題達成型の学習活動は、経験を探る、目標と状況を確認する、今できる範囲で課題を遂行する、教師が指導とフィードバックを行う、まとめのロールプレイと自己評価の順に進める。
ひっかけ
- 母語話者が使用する日本語の在り方は、学ぶべき規範や最終的なゴールとは必ずしもされない。
- 行動中心アプローチの目標は、文法や語彙を難易度の低い順に習得することや、五つの言語活動の熟達度をそろえることではない。
- やり取りの成否は送り手だけが左右するのではなく、受け手の役割と責任も同じように大きい。
<35> 日本語教育とICT
日本語教育でのオンラインやICTの活用、認定日本語教育機関の遠隔授業の扱い、語彙レベルを調べるツール、eラーニングとコーパスが問われる。
要点
- 文部科学省は、入国が困難な留学生へのオンライン日本語教育の実証や、避難民向けオンライン教材の公開、日本語教室の空白地域への遠隔による機会提供を行っている。
- 教材の単語が日本語能力試験の基準でどのレベルかは、リーディング チュウ太で調べられる。
- 認定基準の「同時かつ双方向」の遠隔授業は、web会議システムなどを使って、教員と生徒が同時刻にやりとりするものである。
- 就労のための課程と生活のための課程では、同時双方向の遠隔授業を総授業時数の4分の3まで実施できる。
- 基本方針は、日本語教室に通うことが困難な外国人等のため、生活場面に応じて自習できるICT教材として「つながるひろがる にほんごでのくらし」(つなひろ)を挙げる。
- 「JFにほんごeラーニング みなと」は、教室に通えない人やこれから学ぶ人のためのプラットフォームで、オンラインコースで学べるとともにコミュニティで世界中の仲間と交流できる。
- BCCWJは主に2005年までの約1億語の書き言葉を収めた国立国語研究所のデータベースで、2006年から2025年のデータを加えて2億語規模に拡充する事業が進んでいる。
ひっかけ
- 「みなと」は自習に限られず、まるごとコースには課題添削やライブレッスンなど教師サポートが付くコースもある。
- 留学のための課程では、生徒が希望してもオンラインによる遠隔授業は認められず、例外はゲストスピーカー等の遠隔参加と一時的な緊急対応に限られる。
- やんしすは評価ポイント、やさにちチェッカーは難しかったポイントのマーカーを示すツールで、単語のレベルを日本語能力試験の基準で示すものではない。
- 「NEWS」は教材等の検索システム、日本語教育機関認定法ポータルは認定機関等の情報発信サイトで、自習用の学習サイトではない。
<36> 著作権
著作権法の著作物と権利の種類、存続期間、引用・授業での利用・補償金など、教材作成に関わる規定が問われる。
要点
- 著作者人格権は、公表権、氏名表示権、同一性保持権の三つで、複製権や公衆送信権、翻案権等は財産的な権利である著作権に当たる。
- 著作権は、原則として著作物の創作の時に始まり、著作者の死後70年を経過するまでの間存続する。
- 公表された著作物の引用は、公正な慣行に合致し、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われなければならない。
- 第35条により、営利目的でない教育機関の授業の過程で、必要と認められる限度で、公表された著作物を許諾なしに複製できる。
- 授業の過程で公表された著作物を公衆送信する場合は、教育機関を設置する者が相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。対面の授業を別の場所で同時に受ける者への公衆送信(同時中継)には補償金の規定は適用されない(第35条第3項)。
- 営利を目的とせず、聴衆から料金を受けず、実演を行う者に報酬も支払わない場合は、公表された著作物を許諾なしに上演・演奏・上映・口述できる。
- 同一性保持権は、著作物及びその題号の同一性を保持し、意に反する変更、切除その他の改変を受けない権利である。
- 著作権の譲渡契約で翻訳権・翻案権等が特掲されていないときは、これらの権利は譲渡した者に留保されたものと推定される。
- 試験問題としての複製は許諾が要らないが、営利を目的として行う者は通常の使用料の額に相当する額の補償金を支払わなければならない。
- 引用などで著作物を複製する場合は、その出所を合理的と認められる方法及び程度により明示しなければならない。
ひっかけ
- 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、言語の著作物に該当しない。
- 著作権は譲渡できるが、著作者人格権は著作者の一身に専属し譲渡できないため、著作権を譲渡しても人格権は譲受人に移転しない。
- 国の機関が周知目的で作成した調査統計資料や報告書は、権利の目的とならない著作物ではなく、著作物として保護される。
- 許諾を得た者が利用できるのは許諾に係る利用方法及び条件の範囲内に限られ、教育目的でも範囲を超えて自由に複製できるわけではない。
- 認定日本語教育機関は第35条第1項の対象に該当し得るが、専修学校と各種学校に限られるわけではなく、設置主体が営利法人であれば対象外である。
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この論点の問題は、アプリで解けます
「日本語教員ウカール」は、国家資格「登録日本語教員」になるための日本語教員試験(基礎試験と、応用試験の読解)の対策アプリです。論点テキストはアプリの中の「論点で学ぶ」でも読めて、各論点の問題を解いて理解を確かめられます。応用試験の聴解(音声問題)は対象外です。
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この読み物は、アプリ「日本語教員ウカール」の収録問題の設問・正しい記述・解説をもとに、アプリ製薬が論点ごとに整理したものです。文部科学省の文書の転載ではありません。 問題文・選択肢は載せていません。
日本語教育能力検定試験(公益財団法人日本国際教育支援協会)とは別の試験の対策であり、同検定の対策ではありません。